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測量ネタ
トリンブルS6の旋回
 2006年4月25日、松本市渚のカナディアンホールへ(株)いとう・トリンブル主催の日本縦断キャラバンへ行ってきました。
その目的は最近トリンブルが発売開始したS6を見ることと、最新のGPSの動向を探るためでした。
午前中に予定が有ったため、S6の発表会へは間に合いませんでしたが、その後のセミナーはすべて拝聴し、展示されていたS6に触ることが出来ました。
S6が従来機種から変わったことで、特筆すべき点は、

1、リニアモータードライブとなり、駆動音がほぼしない。
2、従来の赤外線によるロックから、ライカ・トプコン同様プリズムロック方式を採用。
3、鉛直軸補正を傾きから数値のみを補正するのではなく、物理的に補正する。
といった点(もっとあったが)です。

1 感想から言わせてもらうと、「スゴイ、参った。」の一言です。まず驚いたのが、リニアモーター(マグドライブと言っていた。)による旋回のため、動作音がまったくしないことに驚きました。私の使用しているTCRA1100や、従来機種のDR5600などは、ギヤによって駆動しているので、駆動音がしてしまいます。 リニアモータードライブのため、旋回速度がとても速いことにも感心しました。
その様子は、こちらです。↓

しかもその動きがあまりにも滑らかなんです。比較対象として、TCRA1100の旋回も載せておきます。
こちらです。↓

いやー参りましたね。この器械の発売があと半年早ければ機種選択で迷っていたかも知れませんね。
これから購入を検討している方で、基準点測量をよくする方は非常に魅力的な一台となってくるでしょうね。TPSシリーズでもかなり効率が上がりましたが、更なるスピードアップが図れそうです。

ただ、この機種の弱点もあります。2m以下の距離では測距出来ない場合が多いということです。
国調などの筆界点測量でTSの近くは距離が返ってこない場合も考えられます。
メーカーの言い分では、至近距離はコンベックスで水平距離を測って手入力してくださいとのことでした。確かに以前私も昔の光波では、至近距離はコンベックスで距離をとっていたこともありました。
そのほうが精度がよい場合もありましたから。
でも間接水準による横断測量には向かないかな?と思いましたね。

2 で、追尾の方式も、ジオジメーターの頃から受け継いできた赤外線ターゲットによるロック方式を捨て、プリズムをロックする方式を採ったことにより、現在手持ちのプリズムでも追尾が可能となりました。
その方式にプラスして、赤外線ターゲットを装着することにより、手持ちのプリズム以外にはロックしなくなるようにも出来るようです。赤外線ターゲットは取り外し式なので、あらゆるプリズムに取り付けられるのではないでしょうか?

3 鉛直軸の補正(シュアポイント)のデモンストレーションでは、整準したTSを鉛直角0度に向けて、可視光レーザーを発し天井に当てた状態で、整準台調整ネジを廻しわざと鉛直角を傾けてTSを360度旋回させましたが、驚くことに赤い光の点は円を描くことなく一点を捉えていました。
これは鉛直軸の傾きを数値的に補正しているのではなく、物理的に鉛直軸を修正しているのです。

トータル的に見て、これは”買い”のTSではないでしょうか?
カタログ値でノンプリ600mという点や従来機種のような外付けバッテリ不要という点、軽量コンパクト化した点、トリンブルもずいぶんがんばったなあと思います。後は近距離でも測距の問題を何とかするだけですね。
4年後(私のリースが終わる頃)、ライカ・トプコン・ソキアがどんな機種を発表しているか楽しみです。
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